前回に続き、主に企業や商品・サービスなどのブランディングに携わる方々に向けて、弊社のネイティブコピーライターが厳選した秀逸な英語の広告キャッチコピーをご紹介します。今回は、弊社CEOでもあるイギリス出身のピーターに3つ挙げてもらいました。
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・Ronseal (1994) – “Does exactly what it says on the tin”
まず1つ目は、塗料メーカーであるロンシールの「Does exactly what it says on the tin」です。これは1994年に速乾性ウッドステインの新しいキャンペーンで制作されたキャッチコピーです。直訳すると、「缶に書いてある通りのことをする」という意味ですが、これはつまらない製品(速乾性ウッドステイン)から来ていて、製品がその通りに機能することを表しています。このキャッチフレーズのおもしろいところは、期待通りの働きをするもの、つまりそれ以上でもそれ以下でもないものを表す一般的な英語の表現として、日常的に使われるようになったことです。
・Marmite (1966) – “Love –it, Hate-it”
次に2つ目は、マーマイトの広告です。マーマイトは1902年に考案され、マーマイト・フード・カンパニーが小さな工場を開設し、現在に至っています。マーマイトは、栄養価の高い風味豊かなスプレッドで、パンやトーストに塗ったり、料理の材料として使用されています。使用済みのビール酵母を原料としており、黄色の蓋が付いた黒い瓶に入っているのが特徴です。マーマイトは、人によって好き嫌いが分かれるとても強い味がします。人気の高い「Love it or Hate it」キャンペーンは、人々との会話の中で、ほとんどの人がマーマイトを本当に好きか嫌いかのどちらかであることを発見したことから生まれました。この広告が功を奏して、今では意見が大きく分かれるものについて「Marmite問題だ」「Marmite映画だ」などと言われるようになりました。
・adidas (2004-) – “IMPOSSIBLE IS NOTHING”「不可能」なんて、ありえない。
最後は、アディダスの「Impossible is Nothing」です。こちらは2004年からグローバルで展開されているキャンペーンで、スローガンはモハメド・アリ氏の言葉を引用したものです。英語には「Nothing is impossible」という言葉がありますが、これは逆になっています。ピーターの解釈ですと、これまで不可能だと思われていたことを可能にする自信のことだと捉えることができます。例えば、100メートルを10秒以内で走ること、あるいはマラソンを2時間以内で走ることは、「不可能」だと思われていましたが、今では「可能」になりました(人々はそれを成し遂げました)。アディダスのプレスリリースでも「他の人からは不可能にしか見えないことでも、アディダスは可能性に満ちた世界として捉えていくという、ブランドとしてのメッセージです。」とあります。日本でも行われているキャンペーンのため、「不可能」なんて、ありえない。というアディダスによる日本語訳もあります。スポーツ用品のブランドとして、とても力強いメッセージですね。
いかがでしたでしょうか。今回は広告キャッチコピーがきっかけで日常的に使用されるようになった英語表現などを紹介してきました。広告コピーの影響力の強さを実感するとともに、言葉は「生き物」であることをあらためて考えさせられますね。