会社案内は、言うまでもなく会社を紹介する重要なツールです。ウェブサイトとともにどの企業にも必須の広報物と言えるでしょう。近年ではオンラインでも閲覧できるデジタル版も必須ですが、実物を手に取ることができる印刷物の会社案内は、有効なコミュニケーションの一つとして役に立ちます。データ制作の段階においては、デジタル版も印刷版も同様ですので、本稿ではそのどちらにも共通するデータ制作段階の工程について中心にご紹介したいと思います。
主な工程はこちらになります。順番に解説していきます。
- 全体の目的・コンセプトのプランニング
- 英語版の台割作成
- 取材(または翻訳)・コピーライティング
- 表紙デザイン
- デザイン・DTP
- 修正
- 最終チェック・納品
1. 全体の目的・コンセプトのプランニング
グローバル版を制作するにあたり、まず考えなければいけないことは、日本語版をベースにするかどうかです。多くの場合、日本語版とグローバル版はターゲットや目的が異なりますので、その場合はコンセプトも異なったもので制作することをおすすめします。ターゲットに適切に訴求できるような会社案内とはどういうものか?という視点からプランニングしていきます。
2. 英語版の台割作成
目的・コンセプトが日本語版と異なれば、当然全体の構成も英語版独自のものを検討する必要があります。情報の優先順位が日本語版とグローバル版では大きく異なることが多いです。強調するポイントに応じて、英語版の台割を再構成します。
3. 取材(または翻訳)・コピーライティング
グローバル版独自の構成の場合、新規でのライティング作業が必要となります。トップや事業部責任者の方々への取材から行うか、もしくは、日本語の原稿をベースに翻訳をし、ネイティブ向けにコピーライティングを行うかたちになります。グローバル版では、感情的な訴求力が強い方が一般的であるため、よりカジュアルな言語表現が用いられます。このように自然な英文であることはもちろんのこと、内容自体もターゲットに合わせて的確にローカライズされることが求められます。
4. 表紙デザイン
会社の印象を一瞬で大きく決定づける表紙のデザインは、極めて重要です。特別ブランドガイドラインの規定が無い限り、日本語版のデザインに合わせる必要はなく、英語版独自のデザインを制作することも一つの戦略です。
5. デザイン・DTP
全体のアートディレクションに従い、各ページのデザインを制作していきます。弊社では、アートディレクションからDTPまで英語ネイティブのデザイナーが関わるため、細部に至るまで英語の印刷物としての品質にこだわった仕上がりを心がけています。例えば、英語のタイポグラフィの扱いは日本語とは大きく異なります。フォントの選択、見出しや本文の文字の大きさ、段落・文字のスタイル、行端揃えの使い方など、すべてがブランドの印象を変えてしまいます(英語ネイティブでないデザイナーは、段落スタイルを変えずに単純に英語に差し替えてしまうことが多く、結果的に印象が悪くなってしまいます)。近年の外国企業の会社案内の傾向として、文字情報は出来るだけ少なめにまとめ、インパクトのある写真で企業理念を伝えたり、視覚的にわかりやすく図やグラフで会社の状況を端的に表現したりする方法が好まれます。詳細な情報はウェブサイトで確認できるように誘導しています。
6. 修正
初校、再校の順にクライアントチェック後に必要に応じて修正作業を行います。印刷版は特に校正作業も入念に行います。
7. 最終チェック・納品
最終版がFIXとなりましたら、入稿データを作成し印刷作業に入ります。通常は色校正の工程を経て最終納品となります。デジタル版はウェブサイト掲載用にPDFファイルなどでご用意します。
以上、グローバル版会社案内の制作工程についてご紹介してきました。会社案内は、企業の特徴が色濃く反映されるため、各企業により異なり、非常に奥深いです。数年ごとにトレンドも変わりますので、定期的に見直してリブランディングしていくことが重要です。また、トレンドは国や地域での差がありますので、日本語版をそのまま英語版とするだけでは効果的なブランディングとは言えません。一般的にグローバル版での読者は、日本語版と比べて多岐にわたり、また多様な文化背景を持つことを意識する必要がありますので、例えば掲載する製品写真ひとつにしても選定に配慮しなければなりません。弊社では、このような様々な観点からコンサルティングを行っています。グローバル企業の会社案内制作実績が豊富にありますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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