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良いコピーライティングはなぜ必要か

コピーライティングにできること

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良いコピーライティングはなぜ必要か

良いコピーとは何か

「男は黙ってサッポロビール」というフレーズはご存知でしょうか。
このサッポロビールの名コピーが、コピーライター秋山晶氏によって生み出されたのは、今から50年以上前の1970年(昭和45年)のことでした。

当時、広告のメインステージだった新聞の大きな広告とポスターには一行のボディコピーも入らず、ビールを飲む「世界の三船敏郎」の顔がアップで映り、そこに印象的な字体の「男は黙ってサッポロビール」のコピーのみ。そしてテレビCMの方はというと、音声は効果音だけでセリフは一切なく、コピーの文字だけが流れるという斬新なものでした。

さてこのコピー、業界では語り継がれる珠玉の一本とされているのですが、それはなぜでしょうか。その理由は、シンプルで潔いコピーが新鮮だったからでも、「なんとなく印象的」だったからでもありません。ただ技術で言葉をうまく配置しただけのコピーには、そんな力はありません。良いコピーというものは、必ず人の心を動かすために考え抜かれ、練り尽くされています。そして何より、芯となるコンセプトを持っているのです。

当のサッポロのウェブサイトには、こう書かれています。
「サッポロビールは爽やかで切れ味が特色であり、やや女性的であるとされていました。当時のヘビーユーザーは男性でしたから、男らしいイメージに方向転換させなければなりませんでした。こうした背景で生まれたのが『男は黙ってサッポロビール』。〜中略〜 世界の三船敏郎の起用は必然性があったのです。」

つまり、当時定着しつつあった、「サッポロビールは男らしくない」というイメージを払拭する必要があったわけで、そこで当時の稀代の男らしさのアイコン、三船敏郎を起用し、黙ってただ飲む姿を見せることで「サッポロビールを飲む男は男らしい!」という、新しい価値観を生み出したわけです。
(ちなみに当時の意識調査では男らしさの条件に「寡黙」があったものの現実は逆で、秋山晶氏は、「むしろ寡黙な人が希少だったのでアピールがあった」と言っています。)

また、ビールというと、「とりあえずビール!」と注文することでわかるように、飲むこと自体というよりは、ビールを飲みつつ語らう、楽しむ、というのが目的であることが多いですね。当時もやはりビールはそういう位置付けでした。そこへこのコピーと、黙って飲むだけのイメージを打ち出すことによって、「そうか、会話のついでに飲むものではなく、そのものを味わうことに価値があるくらい美味しいビールが出たのか」と世の中の人に思わせた。つまり、楽しむ(とりあえず乾杯)ビールから、味わうビールへ、という価値の転換を世に示したのだと言えます。これが、コンセプトです。

このように、人は新しい気づき、新しい見方を得ることで初めて頭に「!」マークが現れ、心が動き、そこで初めて行動するのです。

良いコピーライティングが必要な理由

今、街に、電車に、雑誌に、そしてインターネットのあらゆるところに、広告は溢れかえっています。そして残念ながら、良くないコピー(人の心に届かないコピー)が大半です。良くないコピーは大抵、商品やサービスのメリットを描写しているだけのコピーです。誰でも知っていることをなんとなく洒落た言葉で雰囲気をまとわせているだけのイメージコピー。それは人の心を動かしません。

基本的に、人は広告を見ないし、読みません。情報もモノも過剰な今の時代、人がひとつのことに集中して注目できる時間はどんどん短くなっていることが調査の結果でもわかっています。それでもコピーは、言葉の力で人の心を動かさなくてはいけません。これこそが良いコピーライティングが必要な理由です。サッポロビールのコピーの例で見たように、人の心の皮を一枚めくりあげるような、そして新しい景色を見せるような、そういう仕掛けをつくり上げないといけないのです。そこには深い洞察と、確たるコンセプトが必須です。

コピーがつくことで、その商品やサービスの見方が変わるか。
そのコピーは、新しい価値観を提示しているか。
そこに気づきと驚きがあるか。
これなら自分にも関係がある、と思ってもらえるか。
より良い生活を、より幸せな暮らしをイメージできるか。

良いコピーは、そういう力を持つものであるべきです。

そのコピーがある世界とない世界、何が変わりますか?

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